「求人は出している。紹介会社も増やした。それでも、思うような採用にならない」。採用に悩む会社から、いちばんよく聞く言葉です。
応募が来ないと、多くの会社は「入口を増やそう」と考えます。媒体を足す、紹介会社の数を増やす。けれど、入口を増やしても変わらない会社には、もっと手前に共通のつまずきがあります。
先に断っておくと、この記事は採用代行の使い方や、採用から入社後までの流れが切れている話ではありません(それは、採用代行を入れても採れない会社で最初に見るものや、採用設計者という視点で書いています)。ここで見たいのは一点だけ。「紹介会社に、自社のことがどう伝わっているか」です。
紹介会社に届いている「情報」の違い
媒体を増やす
流す情報がぼんやりしたままだと、提案しづらい案件として候補者まで届きにくい。
紹介しやすい形にする
職場の魅力が翻訳されると、紹介経由も自己応募も「数」と「質」が動き始める。
紹介会社は、渡された情報以上には提案できない
紹介会社は、こちらが渡した求人情報をもとに候補者へ提案します。当たり前のようですが、ここが見落とされがちです。渡している情報がぼんやりしていれば、紹介会社は提案のしようがありません。どんなに良い職場でも、担当者にとっては「説明しづらい、提案しづらい案件」になってしまう。
実際にあった話です。拠点が多く、求人の出し入れも頻繁なある医療グループでは、紹介会社にとって「いま、どこに、どんな求人があるのか」がとても分かりにくい状態でした。一つひとつは良い事業所なのに、ぼんやりした情報のまま相手に届き、候補者まで届かない。これは、もったいない機会損失です。
そこで、求人情報を「紹介会社が提案しやすい形」に整理し直しました。結果、それまで1年間ゼロだった採用が、3か月で3名、1年で8名に変わりました。職場が変わったわけではありません。伝わり方が変わっただけです。
求人票がぼんやりしていると、よい職場ほど届かない
これは紹介会社経由に限った話ではありません。求人票そのものの解像度も、まったく同じです。
ある訪問看護ステーションでは、一斉退職により稼働ができなくなるかもしれないという、かなり切迫した状況でした。それでも1年以上、応募はゼロ。求人票をリライトし、現場の具体的な情報(どんな1日か、誰と働くか、何を大事にしているか)を反映したところ、1か月半で9件の応募が集まり、1名の入社が決まりました。
情報が具体的になるほど、読み手は「これは自分に関係がある」と感じます。ときには「もう少し詳しく聞いてみたい」と、自分から動いてくれる。ぼんやりした求人は、読み手の中を素通りしていきます。
見るのは紹介会社の数ではなく、「魅力が翻訳されているか」
採用がうまくいかないとき、見直すべきは「入口の数」ではなく「入口に流している情報」です。
具体的には、こういう問いになります。誰に向けた求人なのか(ペルソナははっきりしているか)。どの場所で、どう伝えているか。選考のスピードや、候補者との関わり方はどうか。そして、入ってきた人を受け入れる環境は整っているか。
ここがそろうと、紹介会社経由の応募も、自己応募も、「数」と「質」の両方が動き始めます。そして質の合う人が入ってくると、入社後の立ち上がりの初速も、定着も変わっていきます。採用は「人を集める」ところで終わりではなく、その先までつながっています。
紹介会社を増やすのは、その後でも遅くありません。まずは、紹介会社に渡している情報を、あらためて見直してみてください。良い職場であることは、ちゃんと翻訳しなければ伝わらないからです。

