研修の効果が出ない原因は、研修の中にない
「研修をやったが、職場で変わった気がしない」という相談は珍しくありません。
支援先でよく見かけるのは、研修そのものは良質なのに、研修前後の現場が何も変わらないというパターンです。受講者は学んで帰るのに、上司から何も聞かれず、実践の機会もなく、2週間後にはほぼリセット。これは研修の失敗ではなく、転移の設計が抜けていることによるものです。
研修転移とは何か
研修転移とは、研修で学んだことが実際の業務行動に変わることを指します。
学習科学の知見では、研修後の職場への転移を左右する要因のうち、研修内容そのものが占める割合は全体の2〜3割程度とされています。残りの多くは、職場環境と上司の関わり方が占めます。研修の「中身」を磨くより、研修の「前後」を整える方が、効果への貢献は大きいのです。
上司の研修前後の動き方がカギ
転移を支える上司の動き方は、大きく3つに整理できます。
研修前(1〜2週間前)
- 本人と「なぜこの研修を受けるのか」を話す
- 現状の課題と、研修後に変えたい行動を一緒に言語化する
- 「何を持ち帰ってほしいか」を明示する
研修後(1〜2週間以内)
- 「どうだった?」と聞く(関心を示すだけで転移率が上がります)
- 研修内容を試せる業務機会を意図的につくる
- 小さな変化をフィードバックする
この3点を実行するだけで、研修の効果は体感として変わります。支援先の実感として、研修後2週間以内に上司との会話があった受講者は、行動変容の定着率が明らかに高い傾向があります。
マネジメントが研修前後にやるべきこと
課題のすり合わせ
「何を持ち帰るか」
スキル習得
(効果の2〜3割)
実践機会の提供
変化のFB
まず何から始めますか
全部を一気に整える必要はありません。
最初の一歩として有効なのは、「研修前の10分会話」を仕組みとして入れることです。カレンダーに研修の1週間前のリマインダーを入れ、上司が本人に「今回の研修、何を持ち帰りたいと思ってる?」と聞く。それだけです。
目標設定のすり合わせ・フィードバックの仕方・動機づけの引き出し方が分からない場合は、そこを整えることからスタートできます。マネジメントスキルの問題というより、「やり方が分からない」だけのケースがほとんどです。
外部支援の使い方
研修転移の支援は、大きく2つのアプローチがあります。
| アプローチ | 内容 | 向いている状況 |
|---|---|---|
| 研修前後の設計支援 | 上司の関わり方・目標設定のフォーマット整備 | 研修はあるが転移が弱い |
| マネジメント育成 | 上司自身のFB・目標設定スキルの強化 | 上司が動き方を知らない |
どちらから入るかは、現場の状況によります。まず「うちの場合はどっちだろう?」という問いを立ててみることが、最初の整理になります。
外部に依頼しなくても、社内で設計できることも多いです。「まず自分たちでやってみたい」というご相談も歓迎しています。
研修設計・研修転移の支援について、詳しくはnote記事もあわせてご覧ください。
https://note.com/mariko_807/n/n2eaf75251967

